表紙を自分で作るか、誰かに頼むか。決めきれないまま三冊出して、ようやく自分なりの答えらしきものが見えてきた。その、まだ途中の話です。
一冊目の表紙は、自分で作った。
作った、というのも少し大げさで、無料のデザインツールのテンプレートを開いて、文字を差し替えて、色を少し変えただけだ。作業時間にして四十分くらい。それでもプレビュー画面に自分の本らしきものが並んだときは、妙にうれしかった。
二冊目のとき、外注を考えた。ちゃんとした表紙なら、もっと読まれるんじゃないか。そう思ったのだ。
頼まないまま、迷っていた期間
クラウドソーシングのサイトを開いて、表紙デザインの依頼相場を眺めた。数千円から、数万円まで。値段の幅があるのは、たぶん出来上がるものの幅でもあるのだろう。上のほうの価格帯の作品例を見ると、なるほどこれは自分には作れないな、と素直に思う。
なのに、依頼ボタンを押せなかった。
理由は、たぶん二つあった。ひとつは、単純にお金のこと。まだ印税が月に数百円の身で、表紙に一万円を出す判断がつかなかった。もうひとつは、もっと情けない理由で、自分の本の中身を人に説明するのが恥ずかしかったのだ。デザイナーさんに依頼するには、どんな本かを言葉にしないといけない。「初心者向けの、こういう内容で……」と入力しかけて、画面を閉じた。
結局、二冊目も自分で作った。一冊目より少しマシになったのは、その間に他の人の表紙を三百冊分くらい眺めたからだと思う。うまくなったというより、目が少し慣れた。
外に出したら、何が返ってきたか
三冊目でようやく人に頼んだ。理由は前向きなものではなくて、締め切りが迫っていて自分で作る時間がなかったからだ。
出来上がってきたものを見て、まず思ったのは「自分では絶対にこうしなかった」ということだった。文字が想像より小さくて、余白が広かった。自分ならもっと情報を詰めたはずだ。売りたい気持ちが、そのまま文字数になるタイプだから。
でも、サムネイルまで縮小すると、そちらのほうが読みやすかった。詰め込んだほうが伝わると思っていたのは、原寸で見ていたからだった。
これが、外に出して返ってきたいちばん大きなものだったと思う。表紙そのものより、自分の癖を教えられた感じがある。以降、自分で作るときも余白を先に取るようになった。
それで、どちらがいいのか
いまのところの結論は、どちらでもいい、という気の抜けたものだ。
ただ、判断の材料は少し整理できた。自分で作るのが向いているのは、内容も表紙のイメージも自分の頭の中にはっきりある場合。特に、シリーズで揃えたいときは自分でやるほうが早い。外に頼むのが向いているのは、時間がないときと、自分の趣味から一度離れたいとき。あとは、その本にどれくらいの期間つきあうつもりかで考えている。長く売り続けたい本なら、表紙にかけた費用は薄く伸びていく。
費用の相場も、ツールの無料枠の範囲も、そのときどきで変わる。実際に決めるときは最新の情報を確認してほしいし、KDP側の表紙の推奨サイズや形式については最新はKDP公式で確認を、と書いておく。ここに書いた数字は、あくまで私が動いたときの話だ。
そして、どちらを選んだにしても、たぶん後から直したくなる。表紙は差し替えられる。それを知ってからは、最初の一枚に対する力の入り方が少し変わった。決定ではなく、暫定。そう思えるようになってから、依頼ボタンも押しやすくなった。

