はじめて本が売れて、口座に入った金額は、缶コーヒーが数本買えるくらい。それでも、あの入金通知ほど胸が高鳴ったお金を、私は他に知らない。
はじめて出した本が売れて、しばらくして、口座に印税が入った。
金額は、コーヒー一杯分ちょっと。時給に換算したら、笑ってしまうような数字だ。
それでも、あの入金通知を見たときの胸の高鳴りを、私は今もよく覚えている。
額ではなく、事実がうれしかった
うれしかったのは、金額ではない。
会ったこともない誰かが、私の本を見つけて、お金を払って、読んでくれた。その事実が、数字になって返ってきた。それは、これまでもらってきたどんな給料とも、質のちがう手ごたえだった。
給料は、時間を差し出した対価だ。でも印税は、自分がつくったものが、誰かの役に立った証だった。
小さな一杯が、次を連れてくる
コーヒー一杯分の印税は、二杯分になり、やがて月々の小さな柱になっていく。
大事なのは、最初の一杯を、ばかにしないことだと思う。あれがなければ、二冊目を書く気にはならなかった。小さな成功を、ちゃんと味わう。その一杯が、次の一冊を連れてくる。
※この随筆は個人の見解・体験にもとづく読み物です。お金・税・法律に関わる話は一般論であり、 実際のご判断は必ず公式情報や専門家でご確認ください。

