早く書き上げたくて、章まるごとをAIに書かせてみた。読み返して、結局すべて消した。無駄だったかというと、そうでもなかった、という話。
締め切りに追われて、ある章をまるごとAIに書かせてみたことがある。
数十秒で、それらしい文章が出てきた。整っていて、破綻もない。でも、朝に読み返して、私は全部消した。
どこが、だめだったのか
まちがいがあったわけではない。むしろ、なめらかすぎた。
そこには、私がその話をするときの、あのつっかえや、言い直しや、こだわりがなかった。読者が読みたいのは、なめらかな正解ではなく、書き手が実際につまずいた場所のはずだ。AIの文章は、つまずいた形跡がきれいに消されていた。
でも、無駄ではなかった
とはいえ、あの数十秒が無駄だったかというと、そうでもない。
AIが出した文章は、「こういう順番で説明すればいいのか」という地図にはなった。骨組みは借りて、肉は自分の言葉で付け直す。下書き係としてのAIは、たしかに優秀だ。
丸投げはしない。でも、道具としては使い倒す。捨てた章のおかげで、書き直した章は、前より自分の声に近づいた。
※この随筆は個人の見解・体験にもとづく読み物です。お金・税・法律に関わる話は一般論であり、 実際のご判断は必ず公式情報や専門家でご確認ください。

