チェックボックスひとつですが、これは電子版を90日間Amazonだけで売るという約束です。何を差し出して何を得るのか、登録したほうがいい場合とそうでない場合を、公式の記載を引いて整理しました。

支度中…
チェックボックスひとつですが、これは電子版を90日間Amazonだけで売るという約束です。何を差し出して何を得るのか、登録したほうがいい場合とそうでない場合を、公式の記載を引いて整理しました。
Kindle出版の印税は、何がどう引かれて手元に残るのか
Kindle出版の印税は、仕組みを知らないまま出すと思ったより少なく感じます。35%と70%の分かれ目、消費税と配信コストの差し引き、読み放題のページ単価まで、公式の数字を引いて計算しました。
途中で、閉じられた本の話
読み放題で本が読まれると、めくられたページの分だけ数字が積まれていく。その数字は、どこまで読まれたのかを、静かに教えてくれる。時々、少しだけ痛いところも。
Kindle出版は稼げるのか、計算だけで考えてみた
稼げる人もいるし、ほとんど稼げない人もいます。それでは答えにならないので、代わりに数字を出します。1冊いくら入るのか、月10万円には何冊必要か。夢のある話も脅す話も抜きで、計算だけを書きました。
ほんの寺子屋は、師匠の伴走と仲間との学び合いで自分の本を世に出す出版コミュニティ。 気になったら、まずは見習いから覗いてみてください。
KDPセレクトに登録するかどうかは、最初の一冊を出すときに必ず突き当たる分岐です。
チェックボックスひとつなので軽く見えるのですが、これは「この本の電子版を90日間Amazonだけで売ります」という約束です。私は一冊目で何も考えずにチェックを入れ、三冊目で一度外し、いまはまた入れています。ここではKDPセレクトが何を差し出して何を得る仕組みなのかを、公式の記載を引きながら整理します。
KDPセレクトは90日間の登録プログラムです。KDPの利用規約には、登録している間、デジタル形式の電子書籍を販売・配信する独占的な権利をAmazonに与えることになると書かれています。
つまり登録中は、同じ内容の電子書籍を楽天KoboやApple Booksで売れません。自分のブログで全文を無料公開することもできません。
ここは誤解されやすいところです。独占の対象はデジタル形式の電子書籍だけです。
90日の登録期間中も、印刷版、動画、音声などの他の形式は他の場所で引き続き販売できます。ペーパーバックを他所で扱っても問題ありません。
登録は90日単位です。何もしないと自動で更新される設定になっているので、外したい場合は期間が切れる前に更新をオフにしておく必要があります。
私が三冊目で外そうとしたとき、気づいたのが更新の3日前でした。あやうくもう90日縛られるところでした。
いちばん大きいのがこれです。登録するとKindle Unlimitedの対象になり、読み放題の会員が無料で読めるようになります。
このときの印税は、売れた冊数ではなく読まれたページ数で計算されます。Kindle Unlimitedのロイヤリティによれば、この指標はKENP(Kindle Edition Normalized Page)と呼ばれ、「ジャンルや端末、表示設定に関係なく計算される」ページ数です。KENPC v3.0では、読者が1冊で獲得できるページ数は最大3,000に制限されています。
単価は固定ではありません。公式には、印税は「KDPセレクト グローバル基金」から支払われ、著者の取り分は全体の既読ページ数に占める割合で決まると書かれています。毎月変動します。
もうひとつ、販促の道具が使えるようになります。90日の登録期間中に、本を無料で配布する無料キャンペーンを最大5日間実施できます。あるいは期間限定の値下げをするKindle Countdown Dealsを使えます。どちらか一方です。
無料キャンペーンについては、実際に5日間やってみた話を別の回に書きました。
無名の書き手が最初の一冊を出すなら、私は登録をすすめます。理由は単純で、他所で売る当てがないからです。
差し出しているのは「他のストアで売る権利」ですが、実際にはKoboやApple Booksに自分の本を並べても、読者はそこに探しに来ません。失うものが実質ないのに、読み放題という大きな入口が手に入る。この非対称が、最初の一冊では効きます。
読み放題は、値段を理由に見送られない入口です。500円の本を買うのは決断ですが、読み放題の会員にとってはゼロ円です。読まれた分だけ印税が入る。無名のうちは、読まれること自体が資産になります。
すでに他のプラットフォームで読者がいる場合は話が変わります。自分のブログやメールマガジンで全文を出したい場合も、独占と衝突します。
それから、内容が特殊で読み放題の会員層と噛み合わない本。読み放題は最後まで読まれてはじめて印税になるので、拾い読みされる性質の本だと数字が伸びません。
90日の期間中は外せません。期間が終わるタイミングで更新をオフにすることになります。
だから最初のチェックは、90日という単位で考えて入れる必要があります。
私が実際にひやりとしたのは、無料公開との衝突でした。
本に書いた文章を、そのままブログに載せたくなることがあります。宣伝のつもりでも、登録中は独占の約束に触れる可能性があります。抜粋の範囲がどこまでかは判断が難しいので、私は本文をそのまま転載しないという線を引いています。
もうひとつは、他所ですでに公開していた文章を本にする場合です。書きためたブログ記事を本にまとめるとき、元の記事を残したままKDPセレクトに登録すると、同じ内容が2か所にある状態になります。ここは登録前に整理しておくほうが安全です。
90日間です。期間中はデジタル形式の電子書籍をAmazon以外で販売・配信できません。何もしないと自動更新されるため、外したい場合は期間終了前に更新をオフにする必要があります。
なりません。独占の対象はデジタル形式の電子書籍のみで、印刷版、動画、音声などの他の形式は他の場所で引き続き販売できます。
読まれたページ数(KENP)に応じて、KDPセレクト グローバル基金から分配されます。単価は基金の総額とその月の全体の既読ページ数によって決まるため、毎月変動します。
できません。無料キャンペーンもKindle Countdown DealsもKDPセレクトの登録が前提です。
90日の期間中に任意で外すことは原則できません。期間が終わるタイミングで自動更新をオフにする形になります。
KDPセレクトの話は、調べ始めると独占という言葉の重さに引っ張られます。私も一度、他のストアに出す可能性を捨てていいのかと真剣に悩みました。
いま振り返ると、悩むだけ無駄でした。読者がまだ一人もいない段階で、販路の話をしても意味がなかったからです。まず読まれることのほうが、はるかに大事でした。
ほんの寺子屋には、この手の分岐を先に通った人がいます。月謝3,000円で、師匠が伴走し、迷ったところをその場で聞ける。印税は100%あなたのもので、私たちが受け取ることはありません。
まずは無料の見習い登録から覗いてみてください。
なお、この記事の条件は執筆時点でKDP公式の記載にもとづくものです。プログラムの内容は変わることがあるので、実際の判断はKDP公式の最新の記載でご確認ください。
※この随筆は個人の見解・体験にもとづく読み物です。お金・税・法律に関わる話は一般論であり、 実際のご判断は必ず公式情報や専門家でご確認ください。