Kindle出版の代行料金は個人向けで1.5〜5万円が中心、法人向けは15万円以上。料金に含まれる範囲、著作権とKDPアカウントの名義、追加課金、出版後の改訂や印税の受け取り、AI申告の責任など、依頼前の確認点を整理します。
「原稿はあるが、入稿の作業が面倒で進まない。代行に頼みたいが、料金の相場も、何を頼めるのかも分からない」。Kindle出版の代行を調べ始めた人は、たいていここで止まります。代行の料金は、同じ作業でも2万円から200万円まで開きがあり、安い順に並べても比較になりません。この記事では、料金帯を3つに分けて相場を示し、次に料金に何が含まれるかを見て、最後に依頼前に確認しておきたい5つのことを、KDPの仕組みに沿って説明します。
Kindle出版の代行料金の相場は、個人向けで1.5〜5万円が中心
代行の料金は、頼む相手と範囲で3つの層に分かれます。
個人向けの出版代行は、原稿を持ち込んで電子化と入稿をしてもらう形で、1.5〜5万円が中心です。専門業者では19,800円や29,800円といった価格がひとつの目安になっていて、最短3日で出版する業者で49,800円ほどです。クラウドソーシング(ココナラやランサーズ)でも同じ範囲に出品が集まっていて、原稿持ち込みのフル代行で15,000〜40,000円あたりが最も多い価格帯です。
執筆から頼む場合は、個人向けで5〜7万円台からです。原稿を書く工程が加わる分、料金は上がりますが、この層はまだ個人が払える範囲に収まっています。
法人向けは別の市場です。士業や経営者のブランディング目的の出版は15万円以上が普通で、16.5万円から190万円近くまで幅のあるプランを出す業者や、大手出版社系のサービスで200万〜300万円というものもあります。作業の中身は個人向けと大きく変わらないことも多く、編集者が付く、メディア紹介がある、といった付加価値で価格が決まっています。
つまり「相場はいくらか」と聞かれれば、原稿があれば1.5〜5万円、書いてもらうなら5万円台から、法人の看板づくりなら15万円以上、というのが答えです。
代行料金に何が含まれるかで、Kindle出版の総額は変わる
料金表の数字だけで比べると失敗します。理由は、含まれる範囲が業者ごとに違うからです。よくあるのは次の項目です。
- 原稿の電子化(WordやテキストをEPUBに変換する)
- KDPへの登録と入稿の作業
- 表紙のデザイン
- 校正
- 文字数の上限と、超過分の追加料金
- 出版後の改訂(無料の業者と有料の業者がある)
- 紙の本(ペーパーバック)の対応
安い料金を掲げる業者ほど、表紙と校正が別料金になっている傾向があります。表紙だけで5,000円からが相場なので、2万円のプランに表紙と校正を足すと、結局3〜4万円になることは珍しくありません。「オプション課金が積み上がって総額が読めない」というのは、この市場で最も多い不満のひとつです。見積もりを取るときは、「表紙・校正・改訂・紙の本を含めた総額」で聞いてください。
なお、KDP自体には出版の費用はかかりません。代行料金は、すべて作業を人に頼むための費用です。自分でやる場合に何が必要かは /guide/kindle-shuppan-hiyou に書いています。
代行に頼む前の確認1・2 著作権と、KDPアカウントの名義は誰か
依頼前に一番重要なのがこの2点です。
著作権については、契約書に「著作権は代行業者に帰属する」と書かれている業者が実際にあります。あなたが書いた本の権利が業者に移ると、改訂も、他のストアでの販売も、業者の同意なしにはできなくなります。契約書で著作権があなたに残ること、業者は作業を請け負うだけであることを確認してください。
アカウントの名義は、さらに見落とされやすい点です。KDPの本は、登録したKDPアカウントに紐づきます。業者のアカウントで出版すると、ロイヤリティはまず業者に入り、あなたは業者から受け取ることになります。改訂や価格変更も業者にしかできません。実際に「印税の振込を毎回業者に連絡しないといけない」という不満が出ています。原則は、あなた名義のKDPアカウントで出版し、ロイヤリティはAmazonからあなたの口座に直接振り込まれる形です。業者がアカウントの作成や設定を手伝うことはできますが、作ったアカウントの持ち主はあなたです。
KDPの仕様として、本の「著者」欄にはペンネームを使えますが、アカウント情報には支払いと納税のために本名が必要です。また、出版後に主著者名は変更できません。業者名や別の名前で出版されたあとに直すことはできないので、著者名の表記は入稿前に自分で確認してください。KDPアカウントは1人につき1つだけで、業者に「あなた用のアカウントを作りました」と言われても、あなたの既存アカウントとは別に2つ目を持つことはできません。
参考: KDP公式ヘルプ(https://kdp.amazon.co.jp/ja_JP/help/topic/G2BWJN2BY98T5PV2)
代行料金の追加課金と、出版後の運用は誰がやるか(確認3・4)
追加課金は、文字数の超過、修正回数の上限、表紙の修正、紙の本の追加でかかることが多い項目です。修正が何回まで無料か、何文字を超えるといくらか、納品後何日まで対応するかを、契約前に文字で確認してください。
出版後の運用も決めておきます。KDPでは本文の修正はいつでもでき、原稿を差し替えて再出版すれば新規購入者には最新版が届きます。ただし、変更が全体の10%を超えるような大幅改訂は新しい本として出す必要があります。この改訂作業を業者がいつまで、いくらで引き受けるのかは、業者によって違います。無料改訂を掲げる業者もあれば、都度料金の業者もあります。
ロイヤリティの受け取りも、自分で把握しておくべき運用です。ロイヤリティは、販売が報告された月の末日から約60日後に支払われます。日本の銀行口座への振込なら最低支払い金額はなく、少額でも全額支払われます。自分名義のアカウントなら、この流れはAmazonとあなたの間だけで完結し、業者に連絡する必要はありません。
参考: KDP公式ヘルプ(https://kdp.amazon.co.jp/ja_JP/help/topic/G202176900)
確認5 AI生成の申告と内容の責任は、代行でも著者に残る
代行に頼んでも、著者として負う責任はあなたに残ります。2つ挙げます。
ひとつはAI生成コンテンツの申告です。KDPでは、AIによって作成されたテキスト・画像・翻訳は、あとで大幅に編集していても「AI生成」として出版時に開示する必要があります。自分で書いた文章をAIで校正・改善しただけなら開示は不要です。代行業者がAIで原稿を書いていた場合、その申告はあなたのアカウントで、あなたが行うことになります。業者に「原稿のどの部分をAIで作ったか」を確認し、正直に申告してください。虚偽の申告はアカウント上のリスクになります。詳しくは /guide/kindle-shuppan-ai-shinkoku を読んでください。
もうひとつは、権利と品質です。KDPは、アップロードするすべてのコンテンツについて必要な権利を保有していることを求めており、違反時は本の削除やアカウントの停止があり得ます。業者がWeb上の文章や画像を無断で使っていても、止められるのはあなたのアカウントです。素材の出どころを確認し、契約書に権利の保証を入れてもらうのが安全です。
参考: KDP公式ヘルプ(https://kdp.amazon.co.jp/ja_JP/help/topic/G200672390)
代行料金を払っても、Kindle出版で売れるかは別の問題
最後に、現実を書いておきます。代行に頼めば本は出ます。ただ、Kindle出版で出た本の平均販売は100部未満と言われ、初心者の最初の1〜2冊は月500〜3,000円が中央値に近い水準です。3万円払って出した本が、月1,000円のロイヤリティになる、というのが標準的な結果です。
代行の多くは「出版して終わり」で、売れるかどうかの部分は引き受けません。ここが業界に共通する不満です。売れる本の条件はタイトル、カテゴリー、表紙、目次にあり、これは /guide/kindle-shuppan-urenai に書きました。代行を使うなら、作業を任せる部分と、自分で決めるべき部分(テーマ、タイトル、目次)を分けて考えてください。運営者は2025年からひとりで131冊を出し、月15万円のロイヤリティに達した月があります(Amazonで全冊確認できます)が、それは作業を人に任せたからではなく、冊数と選び方の積み重ねです。
まずは、あなたの詳しいことが本になるか確かめる
代行に払う前に、そのテーマが本になるかを先に確かめるほうが順番として自然です。あなたの詳しいことが本になるかどうか、無料の出版診断(/shindan)でテーマを1つ送ってもらえれば、その分野の既刊数、競合の評価、読まれ方の目安、近い既刊の例を運営者が見て、2営業日以内にメールで返します。売り込みの電話やLINEはしません。
よくある質問
代行業者のアカウントで出版されたら、あとから自分のアカウントに移せますか
本は出版したKDPアカウントに紐づくため、別のアカウントへそのまま移す簡単な方法はないと考えてください。現実的には、業者側で出版を停止してもらい、自分のアカウントで新しく出版し直すことになり、その本のレビューや販売実績は引き継げません。最初から自分名義のアカウントで出版するのが確実です。
代行に頼んだ場合、AI生成コンテンツの申告はどうなりますか
申告は出版フォームの中で、出版する本人(アカウントの持ち主)が行います。業者がAIで原稿や表紙を作っていれば、あとから編集していても「AI生成」として開示が必要です。契約時にAIの使用範囲を書面で確認してください。
料金が安い代行と高い代行で、本の売れ方は変わりますか
作業の品質に差は出ますが、売れるかどうかは料金より、テーマ、タイトル、カテゴリー、表紙、目次で決まります。高額な法人向けプランは編集者やメディア紹介が付く分の価格で、販売数を保証するものではありません。どの価格帯でも、「出したあとに売れるかどうか」は自分で見なければなりません。
※このガイドはKDPの公式ヘルプと運営者の出版実績にもとづいて書いています。仕様や料率は変わることがあるため、 実際のご判断は必ずAmazon KDPの最新の公式情報でご確認ください。

