副業でKindle本を書いたときの印税の仕組み(35%・70%・KENP)と、平均100部未満という現実、会社員が気をつける就業規則・確定申告の一般論をまとめます。
「副業で本を書いたら、印税で毎月いくら入るのか」。この記事を開いた人の多くは、その数字が知りたいはずです。先に答えを書くと、個人出版の本は平均して100部も売れないと言われ、初心者の最初の1〜2冊は月500〜3,000円が中央値に近い水準です。「誰でも稼げる」という話は、この記事にはありません。そのうえで、KDPの印税がどう計算され、いつ振り込まれ、会社員が副業として続けるときに何を確認しておくべきかを、公式ヘルプの範囲で整理します。数字を知ったうえで始める人のための記事です。
副業で本を書く前に知っておく、印税の現実
副業として本を書くことの利点は、初期費用が0円で、在庫がなく、時間の自由が利くことです。欠点は、収入が読めないことです。個人出版の本は平均して100部も売れないと言われます。1冊500円の本が100部売れて、印税率が70%なら、合計で約35,000円。これが「平均的な1冊」の生涯の売上に近い数字です。
初心者の最初の1〜2冊は、月500〜3,000円が中央値に近い水準です。数万円、数十万円という数字を出している人もいますが、それは冊数を積んだ人か、すでに読者を持っている人です。運営者は2025年からひとりで131冊を出し、月15万円のロイヤリティに達した月がありますが、1冊あたりに直せば月1,000円ほどで、1冊で稼いだのではなく冊数と時間で積み上げた結果です。
副業として本を書く人が現実的に目指せるのは、「1冊で生活を変える」ではなく、「読まれ続ける本を少しずつ増やして、月数千円から数万円の収入を作る」です。この前提に納得できるなら、続きを読んでください。
KDPの印税の仕組み:35%と70%、KENP
KDPの電子書籍の印税(ロイヤリティ)は、本ごとに35%と70%の2つから選びます。35%は税抜の希望小売価格の35%をそのまま受け取る方式で、価格帯の自由度が高く、配信コストも引かれません。70%は税抜価格から配信コスト(ファイルサイズに応じた料金)を引いた額の70%で、条件があります。
参考: KDP公式ヘルプ(https://kdp.amazon.co.jp/ja_JP/help/topic/G200644210)
日本のAmazon.co.jpで70%を適用するには、KDPセレクトへの登録と、税抜250円〜1,250円の価格設定がセットで必要です。条件を満たさない販売分は自動的に35%で計算されます。たとえば税抜500円・ファイルサイズ2MBの本が1冊売れると、70%なら(500円−2円)×70%=約349円、35%なら175円が印税です。
もう1つの収入源が、Kindle Unlimited(読み放題)で読まれたページ数に応じた分配です。読まれたページ数はKENPという正規化されたページ数で数えられ、Amazonが毎月用意する基金を、その月に世界中で読まれた総ページ数に対する自分の本の割合で分配します。1ページあたり何円という固定単価はなく、月ごとに変動します。過去の実績から目安を逆算することはできますが、事前に確定した単価はないと理解してください。
参考: KDP公式ヘルプ(https://kdp.amazon.co.jp/ja_JP/help/topic/G201541130)
副業の本で現実的なのは、購入とKENPの両方から少しずつ入ってくる形です。読み放題の読者は購入より気軽に本を開くので、実用書や体験記ではKENPの比率が高くなることがよくあります。
副業の印税は、いつ、いくらから振り込まれるか
印税は、販売が報告された月の末日から約60日後に支払われます。1月の売上分は3月末頃の支払いです。日本の銀行口座への直接振込(EFT)には最低支払い金額がなく、少額でも全額が支払われます。「数百円だから振り込まれない」ということはありません。
参考: KDP公式ヘルプ(https://kdp.amazon.co.jp/ja_JP/help/topic/G201748540)
支払いを受けるには、KDPアカウントで本名・住所、銀行口座、税務情報の3点を登録しておく必要があります。税務情報は「税に関するインタビュー」に画面上で答える形で、米国税法上必要なW-8BENフォームが自動的に作られます。日本の読者向けにAmazon.co.jpで電子書籍を売っている分には、米国の源泉徴収は関係ありません。米国のAmazon.comでも売る場合は、インタビューで納税者番号(個人ならマイナンバーが一般的)を提出すると、日米租税条約によって源泉税率が軽減されます。詳しくは /qa/24 と /qa/25 を読んでください。
なお、副業で本を書く人が忘れがちなのが、KDPの管理画面で見える販売データの扱いです。KDP利用規約には機密保持の条項があり、Amazonが提供する本の販売データはAmazonの機密情報に含まれます。印税の金額を自己申告している人は多いですが、レポート画面のスクリーンショットを公開するような行為は規約上グレーなので、慎重に判断してください。
会社員が副業で本を書くときの注意点:就業規則
会社員が副業として本を書く場合、まず確認するのは自社の就業規則です。副業を届出制にしている会社、許可制にしている会社、原則禁止の会社があります。「本を書く」ことが副業に当たるかどうかは会社の規定の書き方によるので、一般論では答えられません。規則の該当条文を読み、迷ったら人事に確認してください。
筆名で出せば知られない、という考え方もありますが、KDPでは筆名で出版できても、アカウントの登録情報には支払いと納税のため本名が必要で、確定申告や住民税の手続きを通じて収入が把握される可能性はあります。就業規則の確認を、筆名で代替しないでください。
もう1つは、本業の情報を書かないことです。勤務先の社内情報、顧客の情報、業務で知った他社の情報は、たとえ匿名化しても書かないのが原則です。「自分の専門分野の一般的な知識」と「勤務先で知った情報」の線を引き、後者は本に入れない。ここを守れば、本業の専門性を本にすることは、多くの場合に問題になりません。それでも不安があれば、就業規則と合わせて専門家に確認してください。
副業の印税と確定申告(一般論)
税務の話は一般論にとどめます。会社員など給与所得者の場合、KDPの所得(収入から必要経費を引いた額)を含む給与以外の所得が年間20万円を超えると、所得税の確定申告が必要とされています。20万円以下なら所得税の申告は不要ですが、住民税にはこの特例がないため、市区町村への申告は別途必要になります。
所得区分は、副業として行う原稿料型の収入は原則として「雑所得」です。帳簿を作成・保存し、営利目的で継続的・反復的に相応の規模で行っている場合は「事業所得」と認められる余地があります。区分によって青色申告の可否などが変わります。
参考: 国税庁タックスアンサー(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm)
必要経費として何が認められるか、雑所得か事業所得か、消費税の扱いはどうなるかは、個々の状況で変わります。この記事は一般論であり、個別の判断は税務署や税理士など専門家に確認してください。
副業で本を書く人が、印税を「資産」として考えるなら
ここまでの現実を踏まえて、それでも副業で本を書く意味は何か。1つは、本が残ることです。SNSの投稿は流れて消えますが、本は出したあとも検索され、読まれ続けます。月500円の本でも10冊あれば計算上は月5,000円で、読まれ続ける限りそれが続きます。副業としての本は、月給ではなく、少しずつ積み上がる資産に近い性格を持っています。
もう1つは、書く材料が自分の中にあることです。資格や専門知識、通り抜けた経験、本業と関係ない詳しさ。副業で本を書く人がまず書くべきなのは、流行のテーマではなく、自分が人より詳しいことです。資格を持っている人は /guide/shikaku-hon-shuppan、経験を書きたい人は /guide/keiken-wo-hon-ni-suru を読んでください。
続けるうえでの現実的な指針を3つ書いておきます。1冊目は「練習」と割り切って、出版の手順を覚える(手順は /guide/kindle-shuppan-yarikata)。2冊目からは、1冊目の読者が次に読みたい本を出して、著者ページで本同士をつなぐ。そして、売れない理由を1冊ごとに1つだけ直す(/guide/kindle-shuppan-urenai)。派手ではありませんが、副業で本を書く人が実際に続けている進め方です。
まずは、あなたの詳しいことが本になるか確かめる
副業として続けられるかは、最初のテーマに読者がいるかでかなり決まります。無料の出版診断(/shindan)では、テーマを1つ書いていただくと、その分野の既刊数・競合の評価・読まれ方の目安・近い既刊の例を、運営者が見て2営業日以内にメールで返します。売り込みの電話やLINEはしません。
よくある質問
副業で本を書くと、印税は月にいくらぐらいになりますか
個人差が大きく、保証できる数字はありません。個人出版の本は平均して100部も売れないと言われ、初心者の最初の1〜2冊は月500〜3,000円が中央値に近い水準です。冊数を積み、読者の困りごとに合った本を出し続けた人が、月数万円以上に届いています。
印税が少額でも振り込まれますか
日本の銀行口座への直接振込(EFT)には最低支払い金額がなく、少額でも全額が支払われます。支払いは販売月の末日から約60日後で、支払い月には通知メールが届きます。支払いを受けるには、KDPアカウントに本名・住所、銀行口座、税務情報の登録が必要です。
会社に知られずに副業で本を出せますか
筆名で出版でき、本名はAmazonのサイト上に表示されません。ただし、確定申告や住民税を通じて収入が把握される可能性はあり、就業規則で副業が制限されている場合は筆名で解決する問題ではありません。就業規則を確認し、必要なら人事や専門家に相談してください。
※このガイドはKDPの公式ヘルプと運営者の出版実績にもとづいて書いています。仕様や料率は変わることがあるため、 実際のご判断は必ずAmazon KDPの最新の公式情報でご確認ください。

